1999年にアメリカのキャリア・カウンセリング学会誌に発表された、スタンフォード大学のクランボルツ教授らの「プランド・ハップンスタンス(計画された偶発性)理論」によると、数百人に及ぶ成功したビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、そのうちの8割は「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るものだ」と答えたとのこと。
キャリア・カウンセラー(CDA)の勉強をしていた頃、最も共感した理論だ。「予期せぬ偶然でここまできました」。ううむ、カッコいい。一度は言ってみたい。
人事部で仕事をしていた頃、若手社員から「やりたいことが見つからない」「今の仕事が自分の適性に合っているかわからない」という相談を受けることが多かった。そんなん知るかバカ。俺だって見つかってないわ。いつも心の中で毒づいていた。そんな時、この理論の存在を知った。キャリアなんか偶然だ。そう割り切ると、結構楽になるもんだ。
自分のキャリアを真剣に考えるのはアタリマエ。自分らしさを見つけようともがいて、ゴールに向かって青写真を描こうという姿勢も大切だ。けれど、まずは自分に与えられた仕事を受け入れ、結果を出し、失敗や成功を何度も何度も繰り返すこと。そうしているうちに、いつか自分にとって好ましい偶然が起こる。大事なことは、好ましい偶然が起こりやすくなるような行動を日頃から取っているかどうか。そのための第一歩は、いつも自分の目の前にある。
「仕事がつまらない。自分に合ってない」
つい昨日、入社3年目の社員にまたもや相談された。バカヤロウ。それに対する答えは「そんなん悩む暇があったら、目の前のお仕事を精一杯こなしなさい」だ。こなしてない人ほど軽々しくキャリアを語る。適性を語る。相性を語る。ゴールが見えなければ走らないのはカッコ悪い。走り出すからゴールが見えるのだ。走っているから偶然が起こるのだ・・・と言いたかったが、金八っぽかったのでやめた。
10年後、20年後、自分のキャリアをカッコ良く振り返ってみたい。いやあ、いつの間にかこんなキャリアになってましたえへへと言ってみたい。
偶発性を普遍化する行動の循環を意識して一日一日を過ごしたい。
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