双葉社
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10月に映画公開が予定されている作品の文庫版。作者は「火の粉」「クローズド・ノート」で有名な雫井 脩介。執筆当初から映像化を想定していたのでは?と勘ぐってしまうほど映像・情景描写が秀逸。頭の中で、リアルな世界が一気に広がっていく。小説が故の装飾を最小限に止め、現実の犯罪捜査のように地味で泥臭い描写を積み重ねた結果、物語に圧倒的な臨場感が生まれた。淡々とし過ぎているという反応もあろうが、それこそまさに作者の狙いなのだろう。
警察小説、犯罪小説という類に二の足を踏んでしまう方にもオススメ。とかく原作を踏みにじる傾向の強い昨今の邦画だが、映像化しやすい本作には是非期待したいところ。主人公巻島役は、まさにイメージ通りの豊川 悦司。
巻島がTVを通じて犯人に宣告する名シーン(犯人よ、震えて眠れ)は勿論のこと、脇役、津田長の台詞も印象に残る。ラスト、巻島が自ら背負う業にはただただ涙。。
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